念願の新築マンションに引っ越し、新しい生活への期待に胸を膨らませていた私が、入居三日目に経験した絶望的な出来事についてお話しします。引っ越し作業の慌ただしさのなかで、私は「後でゆっくり片付ければいい」と、リビングの隅に空の段ボールを山積みにしたままにしていました。その日の深夜、喉が渇いてキッチンへ向かおうとしたとき、視界の端で何かが動いた気がしました。嫌な予感がして、積み上げられた段ボールの隙間に懐中電灯を向けると、そこには数匹の、まだ翅も生え揃っていない小さなゴキブリの赤ちゃんがカサカサと這い回っていたのです。新築で、まだ一度も本格的な料理もしていないはずの部屋に、なぜ彼らがいるのか。パニックになりながら調べて分かったのは、引っ越し業者が用意したリサイクル段ボール、あるいは旧居から持ち込んだ段ボールの「断面」に、彼らの卵が潜んでいたという事実でした。段ボールの波状の隙間は、卵を守るためのシェルターとして完璧な役割を果たしており、新しい家に着いた安堵感のなかで、一斉に孵化してしまったようでした。私はその夜、泣きそうになりながらすべての段ボールをベランダへ運び出し、中身が入っている箱もすべて点検しました。すると、数枚の段ボールの裏側に、黒くて小さな小豆のような物体、すなわち卵鞘が付着しているのを見つけ、全身に鳥肌が立ちました。翌朝、私はすぐに専門の業者を呼び、家中の隙間に薬剤を撒いてもらいましたが、業者の方は「段ボールはゴキブリを運ぶトロイの木馬ですよ」と苦笑いしていました。この経験以来、私は段ボールに対する見方が完全に変わりました。ネットショッピングで届いた箱も、玄関で中身だけを取り出し、箱は一秒たりともリビングには入れないようにしています。段ボールを「便利な箱」ではなく「害虫の温床」として警戒するようになってから、幸いにもゴキブリの姿を見ることはなくなりました。これから引っ越しを控えている方や、通販を頻繁に利用する方には、私のような恐怖を味わわないためにも、段ボールの管理には細心の注意を払ってほしいと切に願います。一時の怠慢が、その後の生活を脅かす害虫との戦いの引き金になるかもしれないのですから。
引っ越し荷物の段ボールからゴキブリが出た恐怖