深夜、一人でくつろいでいる時に限って、ヤツは現れる。壁を高速で移動する、あの黒い悪魔、ゴキブリ。絶望的なことに、家の殺虫スプレーは数日前に切らしてしまっていた。そんな極限状況に陥った経験は、誰にでもあるかもしれません。しかし、諦めるのはまだ早い。私たちの身の回りには、化学兵器がなくともゴキブリと戦える、心強い味方が存在します。私が最も信頼している代替兵器は、キッチンに必ずある食器用洗剤です。これを数滴、水を入れたスプレーボトルに入れてシェイクすれば、即席のゴキブリ窒息スプレーが完成します。ゴキブリは、体の側面に気門と呼ばれる小さな呼吸用の穴を持っており、そこから空気を取り込んでいます。洗剤に含まれる界面活性剤は、この気門を覆う油分を分解し、穴をぴったりと塞いでしまうのです。つまり、ゴキ-ブリを溺れさせるのと同じ効果があります。洗剤水を数回吹きかければ、最初は暴れていたゴキブリも、やがて動きが鈍くなり、ひっくり返って動かなくなります。殺虫成分を使わないため、ペットや小さなお子さんがいるご家庭でも比較的安心して使えるのが利点です。ただし、床が泡で滑りやすくなるので、後片付けは念入りに行う必要があります。次に有効なのが、熱湯です。給湯器の設定を一番高くして、60度以上のお湯を準備します。ゴキブリは変温動物であり、急激な温度変化、特に高温には耐えられません。熱湯を浴びせれば、ほぼ一撃で仕留めることができます。しかし、この方法は、相手が動き回っていると失敗のリスクが高く、自分自身が火傷をする危険も伴います。相手を隅に追い詰めた時や、動きが止まった瞬間に使う、最終手段と考えるべきでしょう。最終手段として物理的な攻撃、つまり叩くという方法もありますが、これはお勧めできません。ゴキブリの体内には様々な雑菌が潜んでおり、叩き潰すことでそれらが周囲に飛散する可能性があるからです。どうしても叩く場合は、新聞紙を丸めたものなどを使用し、退治後はその周辺をアルコールで徹底的に消毒する必要があります。殺虫スプレーがないという絶望は、知恵と勇気で乗り越えられます。キッチンを見渡し、あなたの武器を探してください。
殺虫剤がない時のゴキブリ緊急退治術