スズメバチ対策というと、スプレーやネットといった、どこか物々しいイメージが先行しがちです。しかし、もっと自然で、景観を楽しみながら、穏やかに彼らを遠ざける方法があるとしたら、試してみたいと思いませんか。それが、スズメバチが嫌う特定の香りを持つ植物、いわゆる「忌避植物(コンパニオンプランツ)」を庭やベランダに植えるという、ガーデニングを通じた予防策です。この方法は、化学薬品を使わずに、植物が持つ自然の力を借りて、スズメバチが寄り付きにくい環境を作り出すことを目的としています。スズメバチが嫌う植物として、最もよく知られているのが、やはり「ミント(ハッカ)」の仲間です。ペパーミントやスペアミントなどが放つ、清涼感のある強いメントールの香りは、スズメバチにとって非常に不快な刺激となります。ただし、ミントは非常に繁殖力が強いため、地植えにすると庭中を占領してしまう可能性があります。鉢植えにして、スズメバチに来てほしくない場所、例えばベランダや玄関先、窓辺などに置いておくのがお勧めです。同様に、夏に蚊よけとしても利用される「ゼラニウム」も、その独特の香りをスズメバチが嫌うと言われています。色とりどりの美しい花を咲かせるため、景観を楽しみながら防虫効果も期待できる、一石二鳥の植物です。また、料理にも使えるハーブ類の中にも、スズメバチが嫌うものが多くあります。「ローズマリー」や「ラベンダー」の強く爽やかな香りも、彼らを遠ざける効果があるとされています。さらに、古くから虫除けとして使われてきた「ヨモギ」や、特徴的な香りを持つ「ドクダミ」なども、庭の隅に植えておくと、一定の忌避効果が期待できるでしょう。ただし、これらの植物を植えたからといって、スズメバチが絶対に近寄ってこなくなる、というわけではありません。その効果は、あくまで彼らにとって「少し居心地の悪い場所」にする、という程度です。しかし、他の予防策と組み合わせることで、その効果は確実に高まります。美しい花や緑を楽しみながら、さりげなく家の周りに香りのバリアを張る。それは、自然を愛する人ならではの、賢く、そして心豊かなスズメバチ対策と言えるでしょう。
スズメバチが嫌う植物を植えて庭を守る