目の前のゴキブリを退治した。しかし、安心してはいけません。それは、氷山の一角に過ぎない可能性があります。あなたが退治した一匹は、あなたの家に侵入できる「穴」が存在することの、何よりの証拠なのです。第二、第三の侵入者を許さないために、今すぐやるべきことは、ゴキブリの侵入経路を徹底的に塞ぐことです。ゴキブリは、驚くほど小さな隙間からでも侵入してきます。成虫でも数ミリ、幼虫なら1ミリ以下の隙間があれば十分です。彼らが主に利用する、代表的な侵入経路を知っておきましょう。最も注意すべきなのが「水回り」です。キッチンのシンク下や、洗面台の下の配管が、床や壁を貫通している部分には、必ず隙間が空いています。ここは、下水から上がってくるゴキブリのメインルートです。ホームセンターで売っている配管用のパテや、防水テープを使って、この隙間を徹底的に塞ぎましょう。次に、エアコンの「ドレンホース」です。室内の結露水を外部に排出するためのこのホースは、ゴキブリにとって格好の侵入口となります。ホースの先端に、専用の防虫キャップを取り付けるか、使い古しのストッキングを輪ゴムで被せるだけでも、大きな効果があります。また、意外な盲点が「換気扇」や「通気口」です。特に、長期間使っていない換気扇は、シャッターが固着し、隙間が空いていることがあります。フィルターを設置したり、定期的に作動させたりすることで、侵入を防ぎます。窓や玄関ドアの隙間も要注意です。特に、網戸と窓枠の間に隙間がないか、玄関ドアの下に隙間が空いていないかを確認しましょう。隙間テープなどを貼ることで、侵入リスクを減らすことができます。これらの対策は、どれも少しの手間で、今すぐにでも始められることばかりです。たった数ミリの隙間を塞ぐという地道な作業が、あなたの家の平和を長期的に守るための、最も確実な防衛策となるのです。一匹のゴキブリとの遭遇を、家のセキュリティを見直す絶好の機会と捉えましょう。