アシナガバチは全般的にスズメバチほど攻撃的ではないとされていますが、種類によっては非常に高い警戒心を持ち、不用意な接近に対して容赦なく毒針を振るうものがいます。特に危険視されるのが、大型種であるキアシナガバチとセグロアシナガバチです。これらは毒の量も多く、刺された際の痛みは非常に強烈で、体質によってはアナフィラキシーショックを引き起こすリスクも十分にあります。キアシナガバチは、アシナガバチの種類の中でも最も攻撃性が高いと言われており、巣に気づかずに数メートルまで近づいただけで、羽音を荒げて威嚇してくることがあります。彼らの黄色い脚は非常に目立ち、警告色としての役割を十分に果たしています。セグロアシナガバチも同様に大型で、巣の防衛本能は凄まじいものがあります。特に夏から秋にかけて働きバチの数が増える時期は、巣の周囲を通るだけで集団で追尾してくることがあるため、最も警戒すべき時期と言えます。これらの危険な種類と安全に付き合うための鉄則は、まずは「巣の位置を把握すること」です。アシナガバチは毎年同じ場所に巣を作るわけではありませんが、雨風が凌げて日当たりの良い場所を好みます。軒下、戸袋の隙間、庭木の生垣の中などは、彼らの好適な営巣ポイントです。春先に女王バチが一匹で飛んでいるのを見かけたら、その周囲で巣作りが始まっていないか、遠目からチェックしてください。次に、ハチの「警戒サイン」を読み取ることです。一匹のハチがこちらに向かってホバリングし、左右に不規則に揺れながら近づいてくるのは、「これ以上近づくな」という明確な拒絶の意思表示です。この時に手で払ったり、大きな声を出したりするのは火に油を注ぐ行為です。静かに、ゆっくりとその場を離れることが、刺されないための最善策です。また、香水やヘアスプレーの匂い、黒い服などはハチを刺激する要因となります。庭仕事をする際は、なるべく白っぽい服装を選び、強い香りの使用を控えるだけで、ハチからのターゲットにされる確率を下げることができます。もし、うっかり巣を刺激してしまった場合は、頭を低くし、一刻も早くその場から数十メートル離れてください。アシナガバチはスズメバチほど執拗に追いかけてはきませんが、それでも活動範囲内では非常に俊敏です。ハチの種類に応じた危険度を理解しておくことは、過剰なパニックを防ぐと同時に、いつ、どのようなタイミングで専門の駆除業者を呼ぶべきかの判断基準にもなります。大型で攻撃的な種類が生活導線のすぐ近くに巣を作った場合は、無理に自力で対処せず、プロの力を借りることが、自分と家族の身を守るための最も賢明な選択と言えるでしょう。
危険なアシナガバチの種類を知り適切な距離を保つ方法