ゴキブリを退治することには成功したものの、その黒光りする死骸をどうしても素手で触ることができない。その恐怖と嫌悪感で、体が金縛りになったように動けなくなってしまう。この感情は、決して恥ずかしいことではなく、多くの人が共有する極めて自然な反応です。しかし、死骸を放置するわけにはいきません。幸いなことに、現代には、ゴキブリの亡骸に一切触れることなく、安全かつ衛生的に処理するための、様々な道具とテクニックが存在します。まず、最も手軽で、心理的な距離を保てるのが、「長い柄のほうきとちりとり」です。特に、柄の長いタイプのちりとりを使えば、死骸から数十センチの距離を保ったまま、スマートに回収することができます。回収した後は、ちりとりから直接ビニール袋に移し、口を縛って捨てましょう。次に、より確実に「掴む」という行為を、触らずに実現するのが、「火ばさみ」や「トング」です。バーベキュー用などの長いものであれば、さらに安心です。ゴキブリ処理専用のトングを一本用意しておくのも、心の平穏のためには良い投資かもしれません。そして、究極の「ノータッチ&ノーサイト(見ずに処理)」を実現するのが、「掃除機」です。死骸を直視することなく、一瞬で視界から消し去ることができるこの方法は、精神的なダメージを最小限に抑えることができます。ただし、この方法には重要な注意点があります。掃除機の中でゴキブリが生きている可能性や、卵鞘を持っている可能性を考慮し、吸い取った後は、すぐに紙パックを取り出してビニール袋で密閉して捨てるか、サイクロン式の場合は、中のゴミを速やかにビニール袋に移して処分する必要があります。また、ノズルの内部も念のためアルコールなどで清掃しておくと万全です。恐怖を克服するための最大のコツは、自分とゴキブリの間に、物理的な距離と障壁を作ること。適切な道具を使いこなせば、この不快なミッションも、必ず乗り越えることができます。
ゴキブリに触れない!恐怖を克服する後始末の道具とコツ