キッチンで、クローゼットで、あるいは畳の上で、あの不快な「ゴマみたいな虫」を発見してしまったら、目の前の一匹を駆除するだけで満足してはいけません。それは、巨大な氷山の、水面から見えているほんの一角に過ぎないのです。本当の戦いは、その一匹を生み出した、見えない発生源、すなわち「巣」を突き止め、根絶やしにすることです。この調査なくして、根本的な解決はありえません。まず、虫が「シバンムシ」であった場合。あなたの捜索範囲は、キッチンやパントリー、そして畳のある和室です。彼らの好物は乾燥したデンプン質。徹底的にチェックすべきは、封の開いた小麦粉やパン粉、お好み焼き粉の袋です。袋に針で刺したような小さな穴が開いていないか、中身が不自然に固まっていないかを確認します。乾燥パスタや素麺、ビスケット、そして見落としがちなのが、ペットフードやドライフラワー、漢方薬です。畳の部屋であれば、畳の裏や、家具の下に、畳のワラくずが粉状になって溜まっていないかを確認しましょう。次に、虫が「カツオブシムシ」であった場合。捜索範囲は、クローゼットやタンス、押し入れといった衣類の収納場所です。特に、ウールやカシミヤ、シルクといった動物性繊維の衣類を重点的にチェックします。長期間着ていないコートのポケットの中や、衣装ケースの底に、幼虫の抜け殻が溜まっていないかを確認してください。また、鰹節や煮干しといった動物性の乾物を保管している場所も、重要な捜索ポイントです。発生源を特定できたら、次に取るべき行動は一つ。汚染された食品や、ひどく食害された衣類は、もったいないと思わず、すぐにビニール袋に入れて密封し、廃棄することです。そして、虫がいた棚や引き出しは、掃除機で隅々まで吸い取り、その後、消毒用エタノールなどで丁寧に拭き上げます。この「特定」「廃棄」「清掃」という三つのステップを徹底して初めて、ゴマ粒たちの繁殖の連鎖を断ち切ることができるのです。
ゴマみたいな虫の発生源を突き止めろ!